ペット化宣言



「今日のお礼よ。光栄に思いなさい。」


またすぐに体を翻して王様の元へ戻る。
憤怒している王様を宥めたお姫様はそのまま皆を城へ戻るように命令していた。

こうして、お姫様の命令によって、私たちは無事この国を出ることが出来たのだった。



逃げ出せたのは良いものの、道中の雰囲気は最悪だった。


私は未だにウェディングドレスのまま荷台に座っている。
一方、船長さんも無言のままだ。



私の頭の中には、自分と同じ顔のお姫様が船長さんとキスをしていたあの情景がぐるぐるとまわっていた。

あのお城で見つけた本のことも話さなきゃいけないのに……。



この沈黙に耐えられなくなったアレンさんは、恐る恐る口を開いた。



「それにしてもユーリが無事よかったっす!お姫様と入れ替わったときはどうしようかと。」

笑って話すアレンさんに、あのお姫様の家事の出来なさは笑えた、とのってくる団員のみなさん。


それをきっかけに話が盛り上がり始めたとき、船長さんもようやく口を開いた。



「首輪に紐でもつけるか。」

にやり、と笑った船長さんはいつも通り。
全力で否定したあと、今なら話せるかも、と言ってみることにした。






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