ペット化宣言


なんだか外が騒がしい。
昨日寝るのが遅かったから、まだ眠いな……。

ふわぁ、と欠伸をしてテントから出ると、団員さんたちが円になっていた。
中心から聞こえるのはエルちゃんの声。


なんだなんだと私も駆け寄ると、団員さんたちは気を利かせて前の方に入れてくれた。
どうせ私が前に行ってもみんな背高いから見やすいだろうですしね!



そして、目の前ではエルちゃんが泣きながら反論していた。


「なんで帰らなきゃいけないんですか!?あたしはまだミナトさんを楽しませられます!」


「おまえには無理だ。」


「なんであたしは無理なんですか!?」


飛びかかりそうな勢いで攻め寄るエルちゃん。
船長さんは深くため息をつくとアレンさんを呼んだ。



「アレン、命令内容言ってみろ。」

「はいっす!この辺り周辺で行方不明の少女がいないか確認してくることっす!」


あー、だからアレンさんを見かけなかったのか。
アレンさんの言葉を聞いて、さっきまでのことが嘘のようにおとなしくなるエルちゃん。

もしかして、エルちゃん家出してきたの?



「俺は、ここ以外に居場所があるやつは受け入れない。居場所がここだけ。それがこいつら全員に当てはまる入団条件だ。」

「じゃ、じゃあもし私が家族と縁切ったら入れてもらえますか!?」


「自分から居場所を無くそうとする馬鹿は信じられない。」



そう言うと、エルちゃんはぽろぽろと涙をこぼした。






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