ペット化宣言
まだ多少痛むけど、早く退院したいという私の意志を尊重してくれて、私はめでたく退院することができた。
幸い矢に射抜かれたところはお腹の脇らへんだったし、特に肉厚な部分だったために、歩くのが困難だったりだとかはない。
このときは太ってて良かったなぁ、なんて調子良く思ってみたりもした。
学校に行くにはまだ少し安静にしてなきゃいけないと言われたけれど、外を軽く歩く分には構わないと言われたため、散歩をする。
行き交う車や平和な、今まで何十年と見てきたその光景が酷く懐かしく感じられた。
ふと、道に沿って建っている本屋に目をやる。
道にはおすすめの本がずらりと並んでいて、順番に目で追っていると、ある一つの絵本の前で動けなくなった。
「なん…でここに………」
そこにあったのは、船長さんの…青年の物語だったから。
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