ペット化宣言


「実はな、俺には小さい頃の記憶がないんだ。」


…………え?

いきなりの重いカミングアウトに驚く。
そんな私を見下ろしながら、話を続けた。



「気付いたら、1人で戦場だったと思われる場所にいた。
その傍らには1冊の絵本が置いてあって、その絵本の中身を探すため、旅に出たんだ。」




………………?
よく分からない説明に、首を傾げる。
それに対して、アレンさんは補足をしてくれた。


自分なりにわかりやすく纏めると、
戦場に1人置き去りにされた船長さんは、傍らにあった絵本を頼りに記憶を取り戻す度に出たらしい。
それで、アレンさんたちは、船長さんのその、記憶も両親もいないのにたくましく生きてる姿に惚れたとか。


最後のことについては、聞いてもいないことをたくさん力説して貰ったが、省略した。



でも……

「その戦場が、船長さんの故郷だったりとかはしないんですか?」



それだったら、ある程度辻褄が合う。

絵本を持って家を飛び出した幼き船長さんは、戦場と化した光景を見て、あまりのショックに記憶を失ってしまったのではないか、と。



しかし、それは船長さんとアレンさんにすぐさま否定された。





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