ペット化宣言


「つきましたぞ、姫。」


そう言って降ろされた場所はさっき山から見た豪華なお城。
どうやら私はお姫様だと勘違いされてるみたいだ。

抵抗するけれど、本物のお姫様もいつも抵抗しているらしく、全然逃げられない。
むしろいつも通りすぎて疑われていない様子だ。



嫌々ながら連れて行かれた先は王様とお后様の前。
そこで私は一瞬息をするのを忘れてしまった。



「お父さん……お母さん……っ!?」


「パパ、ママって呼べっていつも言っているだろう?」

明らかに私の親とは性格が違う。
でも、声も顔もそっくりで私は動くことが出来なかった。
 

「まったくあなたったら……そうじゃないでしょう?」

久しぶりに聞いた声に飛び込んで行きたくなる。でも、ここにいるのは私の本当の親じゃない。
そう自分に言い聞かせると、少し気持ちが落ち着いた気がした。





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