逢いたくて
私たちは奥さんを客間で待っていた

豪華な客間にはいくつもの芸術品が飾られていて

改めてお金持ちなんだと感じた

「お待たせしました」

その声にぴくりと身体が反応すると渉が手を握ってくれた

「神永咲さんですね?」

「へ?」

「ごめんなさい。私昔譲を調べたことがあって」

「…?!!」

じゃあ奥さんはすべて知ってたの?

「全部知っているわ。あなたと譲のことも。あなたが…譲の子をおろしたことも」

「……っ!!」

頭が真っ白になる

「父のおかげで私はいろいろと手段があるから」

奥さんは元旦那の不倫相手が目の前にいるのに動じたようすがない

「それで。なんのようかしら?」
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