逢いたくて
院長は言いたいことだけ告げて去って行った

渉が医師をめざしたのはきっとお父さんに認められたかったから…

夜中も勉強して必死な姿を見てきた

きっと病院から逃げることもできたのにそうしなかったのは

お父さんを求めていたから…

小さい時からずっと…

なのに私のせいで台なしにするの?





そんなことできない…





でも…


今さら…



「咲?」

受付をすませた渉が来た

「ううん」

慌ててなにもなかったようにする

「顔色が悪い…」

渉に脈をとられながら繕う

「お腹すいちゃった」

「おっ!久しぶりに聞いたよそのセリフ」

渉にはなんとか気づかれなかった
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