逢いたくて
奥さんとうまくいっていないという譲を信じていた

疑っていなかった

でも…

いつでも罪の意識があったし苦しかった

寂しかった

どんなに一緒にいてもからだをかさねても

困った顔で帰り支度を急ぐ譲の背中を送る度

本当は泣きたかった

でも

泣くことは許されないって思っていた

それに

いつも怖かった

別れが…終わりが怖かった

赤ちゃんができたときも

迷惑かけたら嫌われるんじゃないかって怖くて

言えなかった

だから誰にもいわず中絶した

赤ちゃんがいなくなり麻酔から覚めたときの喪失感は一生忘れられない…


今頃…譲はなにしてるかな…奥さんと…
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