逢いたくて
「それは咲が無事に出産したら言うよ。実はもう決まってるんだ。咲が気に入ればいいけど…」

「じゃあがんばらなきゃだね」

「あぁ。一緒にがんばろう」

渉の手を握った瞬間

「う~」

お腹につけた張りを見る機械のメーターが今までになく波打ちはじめる

「いた~ふ~っ!」

半ばやけくそで呼吸を繰り返す

赤ちゃんが苦しくないように

この痛みを少しでも逃せるように

「そうそう上手だよ」

渉にほめられてこんなときなのにちょっと喜ぶ私…

しっかりてを握りしめ腰をさすってくれる渉

一人じゃきっとこの痛みに耐えられなかったと今更思う

「渉っふ~っ!」

「わかってるよ」

「ふ~っ!えっ?」

こんな時もミラクルテレパシーかと思った私に

「かっこいいっていいたいんだろ」

ユーモアを投げかける渉

正直それどころじゃない

「嘘だよ。俺も思ってる。今この瞬間を咲のそばにいられることをよかったっ思うよ。きっと咲をひとりにさせたら一生後悔してた。」

やっぱりミラクルテレパシーだ
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