逢いたくて
仕事を失った私にはこのうえないいい話

ひとりにならなくてすむのも嬉しい

渉とはあって時間は間もないけど信じられそうな人だし

「あ~そうやって考えない考えない。足と手消毒しよ」

渉は私の肩をおさえて椅子に座らせた

普通の家にはなさそうな救急箱

なれた手つきで手当していく

本当に医者なんだ…

「いたっ!!」

消毒液が足に広がる擦り傷にしみる

思わず渉の手をつかんでいた

「ばい菌入るよ?全く自分を傷つけて~痛いだろ?」

「いたた~」

渉は細いのに筋肉質な手で私の手をガードして治療していった

ふと部屋に目をやるととても広い1建屋

大きな窓からは庭が見える

庭をじーっとみていると

「ジャングルみたいだろ?」

「え?」

「無駄に広くて管理に困ってんだ」

一緒に住もうといわれた理由がわかる気がした

「お医者さんてすごいですね」

「俺じゃなくて親父。院長なんだ。西崎総合病院の」

「…にし…ざき…そっ…え~?!」

西崎総合病院て県内で1、2を争う大きな病院

「いい反応ありがとう」

渉はまた無邪気に笑った
< 25 / 204 >

この作品をシェア

pagetop