逢いたくて
夜は大きなベッドにふたりで寝た

渉はきっとひとりだったらまた私がなにをするかわからないから離れないのかな…

「俺のこと、隠すの嫌だから言っていい?」

「うん」

「大学で付き合ってた彼女と結婚する気だったんだ。」

「……」

「親に猛反対されたけど病院を継ぐからって結婚に同意させた」

「……」

「でもさ…彼女は親父に金をもらって消えた」

渉ははじめて寂しそうに笑った

「今は同じ病院の同期の嫁。息子が2人。ある日目の前に現れたらそのありさまだよ~。」

渉の手を無意識に握っていた

「そのあと自暴自棄になった俺をどうにか目覚めさせるために今時政略結婚みたいなことしてさ~。なのに相手は俺に会いに来る途中で死んだ。」

「……」

「ついてないだろ~。俺それ以来人信じないし、深く関わるのやめたんだ。」
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