逢いたくて
「咲」

「わた…る…」

ぶるぶると足が震えて口もがたがた震えてうまく話せない

渉にしがみつくようにして私は顔を渉の胸にうめた

「咲…」

譲の戸惑うような声に余計に震えは止まらなかった

「すみません。私この病院で咲さんの主治医をしています西崎渉と申します」

「私は以前彼女が働いていた会社の上司でした。今はもう…その会社にはいませんが…」

えっ……

会社にいない…?

渉は私の背中をさすりながら冷静な口調だった

「咲さんはさきほど検査したばかりでまだ落ち着いていない状態です。よろしければ部屋を用意しますのでそちらにいらっしゃいませんか?診察は終わられましたか?」

「はい。あとは薬をもらうだけです」

どこか悪いのかな?

「咲、このまま別れたらだめなんじゃないのか?話したいんじゃないか?」

「……」

確かに聞きたいことがある…

私は頷いた
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