愛さない。愛せない。
Ⅱ
「好きです!」
今日はこの学校の入学式だった。
入学式が終わって、
この何だか凄い可愛い人に呼び出された。
「誰?」
背は私より小さい。
茶色の髪の毛をふわふわ風に乗せながら、目を丸くしてる。
「え?」
聞こえていなかったのか、
馬鹿にしてるのか。
「…アンタ、誰?」
「あ、僕ッスか?栗山 那智-クリヤマ ナチ-って言います!ずっと、レイさんが好きでした!」
名前も可愛らしく、
犬に見える。
尻尾がはえてる!
「……あぁ、そう。だから?」
「え?」
え?って何よ、さっきから。
好きです。だから?でしょ?
何とも思わない。
っていうか、逆に男と喋りたくない。
可愛いから、まだ大丈夫だけど。
「僕と付き合って欲しいんです!」
「男に興味ない」
「え?…レ」
「だからといって、女にも興味ない。」
良からぬ妄想をしだした可愛い男の子に冷たい目を向け、妄想をとめた。
「何だぁ、びっくりしましたよ~」
「もう用はないでしょう?さようなら」
ホッとした顔の男の子に
手を二、三回振って歩き出した。
「あ、あの!」
「絶対におとしてみせますから!」
こう言われるのは初めてだった。
おちるわけ無いのに。
「頑張って、おとしてみて」
おとせるなら、今直ぐに。
「上等です」