愛さない。愛せない。
真剣な声に思わず振り返った。
最初は可愛らしく思えたのに、今の表情は可愛さの欠片もない。
「私、その顔嫌い。」
けして、目の前に居る男の子の悪口を言っている訳ではない。
真剣な、真っ直ぐな瞳が嫌いなだけ。
「えー!生まれつきです!」
だから、そういう意味じゃないっつうの。
「私、男って嫌い。だけど、アンタならまだ話せる。
克服させてよ。人間嫌いを」
心の底から言えた言葉。
目の前に居る男……もとい、
那智なら変えてくれそうだと思った。
「ヤッ……バイっす。」
顔を茹で蛸状態にさせながら言う那智に私の頭はハテナ。
「何が」
「いや、何でもないです!それ、他の男に言わないで下さいよ!約束です」
何が言いたいのか分からなかったけど、とりあえず頷いといた。