カサブランカにはなれない

7.もやもやすること

私には彼氏がいた。林 守という名で私と同じ年だった。
大学生の時に家の近くのコンビニでバイトしていた時に知り合った。
バイト先で、入ったばかりの私に色々と仕事を教えてくれた人だった。
とても頼りになるというような印象を受けた。
背がひょろっと高くて、髪はいつもぼさぼさだった。

大学卒業後、守はフリーターをしていた。
映画俳優を目指すと言っていまだに夢を追い続けている。
私はこんな生活をしているのにそんな子供のようなことを言っている
守がだんだん憎らしくなってきた。
年は一緒なのに、ニートに近いフリーターを続ける守にいらいらした。
芸能プロダクションに所属はしているのだが仕事は全く来ない。
オーディションを片っ端から受けているのだが、全て落ちている。
エキストラをバイト代わりにさせてもらっているらしいのだがそれ以外の仕事を
させてもらったことはない。
プロダクションがおこなっているレッスンに通っているが、
レッスン料がかなり高いので常にお金がないような状態だった。
たまにあう時も、食事代は全て私が支払っていた。
コンビニのバイトで知り合った時はこんな風になるなんて思っても見なかった。
普通の大学生だったから普通にサラリーマンになるものだと思っていた。
< 106 / 201 >

この作品をシェア

pagetop