カサブランカにはなれない
私はもう疲れてしまった。
仕事もやりがいはない。お金の為に働いているだけだ。
そのお金だって別に彼の為に働いている訳ではない。
お金を貯めたって使う目的がある訳でもない。
昇格もないし、頑張ったら頑張るだけ評価される事でもない。
欲しいものもない、やりたいこともない。
知り合いはどんどん結婚し出している。
私にはなんの将来もない。
守と一緒にいても結婚して余裕のある暮らしなんて望めない。
私には結局誰も支えてくれる人なんていない。
守と結婚しても私が働く事には変わりないだろうし
今と変わらない生活を送るだけだ。
私はお金はいらないから、心の安らぎが欲しかった。

守は自分の事で一生懸命なので私が何を言っても聞いてはくれないだろう。
だからといって、私から別れを切り出す事は出来ない。
そんなの、かなしすぎる。
いくら私の事を好きではなくてもいないよりはましだ。

私は頭が割れるように痛くなってきた。
最近偏頭痛がひどかったが、これほどひどくはなかった。
周りが白く見えてきて、体がぐらぐら揺れている感覚に陥る。
なんとか家までたどり着けるように、意識をしっかり持ち直して
私はふらふらしながら、家に着いた。
< 109 / 201 >

この作品をシェア

pagetop