カサブランカにはなれない

9.空気のようにいつもあったもの

私は家族とは一切会話をしない。
顔を合わせるのは食事の時だけだが、ささっとすませていつも一言も話さない。
私は母も父も嫌いだった。
私は一人っ子だった。兄弟がいないのでひとりで遊ぶ事が多かった。
私は小さい頃、とても体が弱かった。
いつもより寒いと感じた日は、その夜すぐ高熱を出していた。
インフルエンザにはほぼ毎年かかっていた。
背が低く、ひょろひょろだったので「ほねほね」というあだ名がついていた。
風邪をしょっちゅう引いていた。風邪を引くといつも嘔吐してしまい、
食欲が無くなるのでいつもやせていた。
最初は仲のいい女の子がお見舞いにきてくれたが
次第に「またか」という感じになり誰も見舞いには来なくなった。
私と友達になると何かと面倒なのだ。
理科の実験の時も二人組を一緒に組もうものなら実験の日に私が休んでしまうと一人きりになってしまうし、休んだ分のノートを私に見せなければならなくなるので、そうやってだんだん私の友達は減っていった。
そんな体の弱い私を、両親はとても心配していた。
両親は私に対して色々な事を禁止した。
友達と一緒に外で遊ぶ時はかなりの厚着をさせられた。
夏に長袖を着させられた時はみんなにへんな目で見られて嫌だった。
友達の家でのお泊まり会は許可をもらえず私ひとりだけがいけなかった。
泣きじゃくって反抗したがだめだった。
とにかく何をしたいと言っても全てダメだと言われ私は色々な事をあきらめた。
中学に入ると、とにかく運動をさせられるようになった。
スポーツをさせて体を丈夫にしようという考えを押し付けられた。
まず、スイミングを習わされた。
部活は、走る事は体にいいという母親の考えから陸上部に入った。
そのかいがあって、私は小さい頃に比べて体が丈夫になった。
結果的にはよかったのかもしれないが、自分の希望ではない事をやらされていたことがストレスだった。
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