カサブランカにはなれない
「お正月は外泊の予定でしたがキャンセルでお願い致します。」
女性の声だった。
少しだけ開いていたドアから見ると、キヨさんの次男夫婦だった。
「はい、わかりました。では、変更しておきますね。」
相談員が何か書きながら答えた。
「・・・おばあちゃん、まだ入っていられるんですよね?」
女性は、不安そうな顔で相談員に尋ねた。
「・・・三ヶ月から六ヶ月が通常ですから。まだ余裕はありますね。
山田さんはかなりしっかりしてらっしゃるし、自宅に戻られる予定ですよね?」
「・・・そうなんですけど。あと半年くらいは預かって欲しいんですよ。
実際介護するのは私ですからね。わたしのほうが今、間接が痛くって
介護できる状態じゃないんですよ。お願いしますよ。」
「万一無理だとしたらですね、他の施設さんもご紹介できますからね。
山田さん本人も気にするでしょうから。あまり考えすぎないでくださいね。」
相談員は少し興奮気味の女性をなだめて、あまり根つめないようにと
優しく言った。男性は無言だった。自分よりお嫁さんの方が大変なのを理解しての
ことだろう。申し訳なさそうな顔をしていた。
相談室を出た二人はロビーのソファーに座っていた。
「・・・今日だって見たでしょ?おばあちゃん、私にあんな口聞くのよ!!
もし家に帰って来たら一日中一緒にいなきゃ行けないのは私なんだからね!!」
「・・・わかっているけど。俺の親なんだからさ。」
「だからって、あんたは仕事に行っちゃうからいいわよ。
私にとっては血のつながらない他人なんだからね!!」
「そんな事言うなよ・・お正月だって、本当はうちに連れてく予定だったのに、
お前がうるさく言うから、やめたんだろ??」
「・・・うるさく言うからって何よ!!ここの相談員って本当に他人事のような話し方するんだから・・・介護する人の身になって欲しいわよ。ここ出なきゃいけなくなったら、次の施設、私が探さなきゃいけないんだからね。」
「だからそうなったら家でみればいいじゃないか!!」
事務所にいても少し聞こえてくるくらいの声の大きさだった。
帰って行くお嫁さんは、泣きそうな顔をしていた。
キヨさんは、今どんな気持ちなんだろう。
女性の声だった。
少しだけ開いていたドアから見ると、キヨさんの次男夫婦だった。
「はい、わかりました。では、変更しておきますね。」
相談員が何か書きながら答えた。
「・・・おばあちゃん、まだ入っていられるんですよね?」
女性は、不安そうな顔で相談員に尋ねた。
「・・・三ヶ月から六ヶ月が通常ですから。まだ余裕はありますね。
山田さんはかなりしっかりしてらっしゃるし、自宅に戻られる予定ですよね?」
「・・・そうなんですけど。あと半年くらいは預かって欲しいんですよ。
実際介護するのは私ですからね。わたしのほうが今、間接が痛くって
介護できる状態じゃないんですよ。お願いしますよ。」
「万一無理だとしたらですね、他の施設さんもご紹介できますからね。
山田さん本人も気にするでしょうから。あまり考えすぎないでくださいね。」
相談員は少し興奮気味の女性をなだめて、あまり根つめないようにと
優しく言った。男性は無言だった。自分よりお嫁さんの方が大変なのを理解しての
ことだろう。申し訳なさそうな顔をしていた。
相談室を出た二人はロビーのソファーに座っていた。
「・・・今日だって見たでしょ?おばあちゃん、私にあんな口聞くのよ!!
もし家に帰って来たら一日中一緒にいなきゃ行けないのは私なんだからね!!」
「・・・わかっているけど。俺の親なんだからさ。」
「だからって、あんたは仕事に行っちゃうからいいわよ。
私にとっては血のつながらない他人なんだからね!!」
「そんな事言うなよ・・お正月だって、本当はうちに連れてく予定だったのに、
お前がうるさく言うから、やめたんだろ??」
「・・・うるさく言うからって何よ!!ここの相談員って本当に他人事のような話し方するんだから・・・介護する人の身になって欲しいわよ。ここ出なきゃいけなくなったら、次の施設、私が探さなきゃいけないんだからね。」
「だからそうなったら家でみればいいじゃないか!!」
事務所にいても少し聞こえてくるくらいの声の大きさだった。
帰って行くお嫁さんは、泣きそうな顔をしていた。
キヨさんは、今どんな気持ちなんだろう。