カサブランカにはなれない
ドリンクバーのところへ行き、マグカップを2つ取りブレンドコーヒーの
ボタンを押す。コーヒー豆がひかれる音がする。
ががーっという音がして、コーヒーがカップの中に注がれていく。
香ばしい香りが立ちこめる。私は深呼吸をした。
かなしさやむなしい感じが体中に溢れていた。
守は本当に私のことを何とも思っていないのだろうか。
しかし、起きてすぐに会いにきてくれたではないか。
私は一つのカップの中にミルクと砂糖を一個ずつ入れた。
もう一つのカップにはミルクだけ入れた。
私は軽くかき混ぜた後、湯気の立つコーヒーを二つ持って席に戻った。
守に、佐藤の入った方のコーヒーを渡す。
「あぁ。ありがとう。」
守は熱そうに顔をしかめながらコーヒーを一口飲んだ。
「・・・うん。」私はありがとうという言葉が嬉しかった。
私はうつむいてコーヒーを飲んだ。湯気が鼻に当たって鼻の奥がつんとした。
二口くらい飲むと、やっと体の中が暖まった感じがした。
「お前ほんとに暗いよな・・・
 まあいいけど。それより話があるんだけど。」
守はタバコの火を消して、こっちを見ながらいった。
私はすごく嫌な予感がした。
守の方から会いたいと言ってきたときから少し覚悟はしていたが、
それでも何もないだろうと信じていた。
「・・・なに?」
私はとても怖かったが、聞いた。守はいつもと違う表情をしていた。
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