カサブランカにはなれない

15.朝は来る

そして、目を開けた瞬間私は目を覚ました。
やはり夢だったのか。このまま眠っていたかった。
私はぼんやりしながら時計を見た。三時を過ぎていた。
窓の外からは夕日の光が入ってきて私の顔を照らして眩しかった。
私はふと仕事を無断欠勤してしまったことに気づいた。
こんなことは初めてだった。私は一瞬焦ったが、すぐにどうでもいいことだと考え直してベッドに座り直した。
夕日がまぶしかった。私は窓の外をずっと眺めていた。
一時間くらい何も考えず頭が真っ白になりながら空を見続けた。
はっと我に返るともう空は暗く、部屋の中も暗かった。
私は急におなかがすいた。
そういえば昨日の昼から何も食べていない。
夜にコーヒーを飲んだだけだった。
私は、何か食べようと思い、スウェットに着替え財布を握りしめ
ふらふらと立ち上がった。
軽い脱水症状のような感じがしたので何か飲もうと思い
私は台所へ向かった。
一階へ降りて台所へ行くと、母親が夕飯の支度をしていた。
「・・・大丈夫??」
母親は、いつもと違う私の様子を心配しているようだった。
「・・・うん。」
私は財布を握りしめたままコップを取り、水道の水を注いだ。
流しの前でコップの水を飲み干し、コップにまた水を注いで椅子に座った。
「・・・・職場から電話があったわよ、でも大丈夫よ。具合が悪いって
言っておいたから。今日何も食べていないでしょう。
もうすぐすき焼きできるわよ。一緒に食べなさい。」
母親は私の顔を見た後、手に握った財布を見て言った。
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