カサブランカにはなれない
私は、自分のことを考えてくれる人がいるということが嬉しかった。
「はい。私、なんでも人のせいにしてきたと思うんです。
仕事にやりがいを感じないのは上司とか周りの人間に恵まれなかったからだとか。
こんな会社に入ったのは、面接を受けろって言った祖母や母のせいだとか。
毎日つまらないのは、私のことをふった元彼氏のせいだとか。
それがいけなかったと思うんです。
でも、これからは大丈夫そうです。
高田さん、ほんとうにありがとうございました。」
私は高田にお礼を言った。
すがすがしい気持ちだった。
高田は、恥ずかしそうに目をそらした。

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