カサブランカにはなれない

６.忘れ去っていた過去

佐田は、私の元彼氏だった。
大学が一緒で、付合い始める前によく詩織と私と佐田で飲みに行ったものだ。
しかし、すぐに別れてしまって大学で顔を合わせても口をきかなくなった。
「・・・そっか、あいつらしいね。どうせよからぬこと考えているんじゃないの？」
佐田は女好きだった。
後から聞いた話だと、私に告白したのも、大学の仲間同士でしていた遊びの罰ゲームだったらしかった。しかも、私と付合っている時もナンパをしていた。
私はそれを知ってからも、自分からはふる事は出来なかった。
特に佐田に情があった訳ではなかったが、一回付合い始めたからには簡単にやめるわけにはいかないと思い込んでいた。
面倒くさくなってきた佐田はすぐに私に別れを切り出してきて、別れた。
私と佐田はそれ以来一切連絡を取らなかった。
私はそれから随分経って、いろいろな佐田についての噂を聞いてやっと目が覚めた。
最近は、詩織に合コンのセッティングをしつこく頼んでいるらしい。
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表紙・目次

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