さよならまた逢う日まで
休み時間のチャイムが鳴り、それと同時にガヤガヤと様々な騒音に教室が溢れかえった。


この時間、俺だけがずっとフリーズしていた。


夢じゃないんだ・・・・・やっぱり俺は一度死んだんだ。


ってことは、俺に残された時間はあと1ヶ月・・・・。



何度も何度もこの言葉を頭の中で繰り返していた。


それでも現実に向き合いたくなくて、あいつに気づかれないよう机に伏したまま起き上がれずにいた。


ガタガタン!!


そんな俺のナイーブな気持ちなど知る由もなく、空気を読まないあの男が俺の前の席にドカッと座り、無神経にまくし立てた。


「おい啓太よ~、何寝てんだよ~。


いくら越野の時間だからって、来て早々居眠りなんていい度胸じゃね~?」


あ~ウザイ・・・



代わりにお前が死ね!!イラつきで俺の心は毒づいていた。


「なんか、かったり~よな~。

授業日数足りないからって、テスト終わったのに授業って、殺す気かってんだよな~。


死ぬ~って~の!」


殺すだの死ぬだの、俺にとってのNGワードをよくもま~並べたもんだ・・・・


俺は重い頭を持ち上げ、斜め下から桜井を思い切り睨みつけた。



っていうか全く気付いてね~~し!


俺は顔の向きを変えず、目だけあいつの方向へ移した。


アメリカ帰りの、多少鬼太郎に似てはいるがいい顔の男を女子達が放っておくわけがない。


あいつの周りを女子のグループが1組取り囲んでいた。


頬杖をつきながら人懐っこく会話を弾ませるあいつの片方の手は、時々襟足をクルクルと弄った。


やっぱりあいつだ・・・・。


視線に気づいたのか、あいつがまた俺の方を振り返った。


俺は慌てて目だけこちらに戻した。


「あっ、ちょっと悪りぃ~。」


そんな声が聞こえ、あいつは席を立ち、廊下へと出て行った。



俺はあいつが出ていくのを右端に感じ顔をその方向へ向けた。



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