さよならまた逢う日まで
ICUで懸命の延命治療を施されたが、途絶え途絶えだった心音はピーという電子音によって終わりを告げた。

必死の形相で心臓マッサージやAEDを繰り返していた医者達は臨終を確認すると、急に淡々とその後の処理を始めた。

人の死に慣れっこなんだろう。


俺に心臓マッサージをしていた医者が、ICUの出口へと向かった。

一度開いたドアが閉まり、俺も後を追った。

自動ドアがウィーンと開くつもりで前に進んだが開かずに出られてしまった。


通り過ぎてしまったようだ。


医者は、深々と頭を下げていた。


その向こうに母ちゃんがいた。




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