さよならまた逢う日まで
シルエットとなった堺はそのまま何週かを繰り返した。


体を慣らすようにゆっくり歩いているようなペースとなり止まった。



しばらくその場で息を整えると、堺はゆっくりを大きく息を吸い込み深まった夜空を見上げた。




校舎に残る明かりだけが堺を照らした。




…きれいだな…。




口に出して言ってしまいそうだった。



俺はすっかり暮れた暗闇の中に身を隠しながら


彼女から目を離せずにいた。




がむしゃらに食らいついていたあの情熱も、抜け殻になったふがいなさも、堺がいたから前向きに進めたし堺がいたからダメな俺が許せなかった。


取り戻した人生


単純にやり残したことを片付ける事ばかり考えていた。



時間は手のひらからこぼれ落ちる砂のように止めることができず進み続ける。



こんなにも時間がないことがもどかしいと思うなんて。

ふがいないままで消え去り、前向きな彼女に嫉妬したまま跡形もなくなり忘れられていく、それが俺の一番の後悔だったのかもしれない。


もう一度情けないくらい必死に前を進んで



それができたら…消えてもいいかな…。



俺も同じように夜空を見上げた。



その先の三日月がうるんで見えた。






































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