さよならまた逢う日まで
第6章
それからの日々は俺の気持ちなどお構いなしに流れていった。


とうとう明日が練習試合。



そして花火大会。


一つだけ心残りになりそうだった親父のことが、急展開で進んだ。


桜井に俺の残された時間を告げたその翌日、黒ケンから2日ぶりにLINEが届いた。


「草野くんのお父さんらしき人発見!!」


添付された漁港らしき画像には見覚えのある横顔が写っていた。


LINEを確認すると同時に着信音がなった。


黒ケンからだった。


「もしもし草野くん?画像見た?フライングかもしれないけど思い切って話しかけてみたんだ。


草野啓太くんをご存知ですかって。草野くんが探していること話したら、ものすごく驚いてた。草野くんのこと覚えてたよ!」



胸が高鳴った。


「黒ケンありがとう。本当にありがとう。」


「僕草野くんの役に立てて嬉しいよ。これで会えるね。」


その言葉で我に返った。


あと2日で親父に会いに行く時間なんてない。


黒ケンに頼んだ時点で手掛かりの少ない捜索は絶望に近かった。


でも、ほんの少しの希望を黒ケンに託したかった。


俺が生きているうちに会えないことも視野に入れていた。


「黒ケン。お前に渡したファイルの中に手紙が入っていると思うんだ。それ、親父に渡してくんない?」



「草野くん会いに行かないの?」


「えっ?うん行くよ。明後日の試合が終わったら行く。」


何も知らない黒ケンには本当のことは告げずそう答えた。


「分かった。この手紙は僕が責任をもって渡しておくね。」


そう言って電話は切られた。


手紙を読んで親父が母ちゃんに会うかはわからない。


そこまで見届けることはできない。


でも俺がいなくなった後、少しでも母ちゃんを助けてほしかった。


たった一人にはしたくなかった。


それが母ちゃんに俺ができる精一杯だった。











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