小さな喫茶店
いつか、俺だけの為にコーヒーを淹れてくれる日が来るのだろうか。思考を巡らせて止めた。未来なんて解りっこない。今は隣で一緒にコーヒーを飲むだけでいい。

「甘いな」

「チョコレートだもの。ブラックコーヒーが良く合うでしょ?」

「あぁ」

隣に感じる確かな存在は今日も時間の流れを感じさせない程居心地が良い。

これが依存性って奴なのか?だったら随分厄介だ。酒や煙草のように自らをボロボロにするでもなく、寧ろいつの間にか癒されている己がいる。

「厄介だ」

「なにが?」

手から落としそうになった。
もう温くなったコーヒーを見ながら誤魔化す。

チラリ隣を見れば目があってしまった。こんなに慌てるのはこれまでもこの先も隣にいる女だけだ。

それを感じ取ったのかクスリ笑う女。


あぁ、いつかその笑顔を真正面から見てやりたい。

終わり

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