奏
「今日はいい天気だな〜、な!奏!」
「うん…そうだね…」
「なあ、奏…見ろよ…」
翔太は自分の弁当箱を開けて見せてきた
「あのな〜俺が人生で初めて作った弁当だ」
「え…翔太が?自分で作ったの?」
「ああ…食ってみるか…?」
「うん…卵焼き上手だね…!」
「だろ?それも人生で初めて作った卵焼き」
あたしは卵焼きを口に運ぶ
「翔太…」
「ん…?」
どうしてだろう…涙が…涙が溢れて止まらない…
「か…奏…なんで泣いてんだよ?不味いか…?そんな泣くほど不味いかよ…出せ!口から出せ!」
「ふふっ…」
思わず笑いが込み上げてきた
「何笑ってんだよ…」
「翔太、これ…美味しい!」
翔太が…まさか…ね…
でもさっき…嫌な予感がしたから…
不思議と、これで翔太といられる最後の日だって思ったんだ…