【短】恋殻物語
合わさった貝殻を握りしめ、響市と目線を絡ませる。


あまりにも響市との距離が近過ぎて、心臓の音が聞こえてしまわないかと心配になった。


「保四……好きだよ。オレとつき合って下さい」


真っ直ぐな言葉に、涙が視界を歪ませた。


信じられない……ずっと好きだった響市と両想いだなんて………嬉し過ぎる。


でも背中に回った温かい体温が、これは現実なんだと分からせてくれている。


私は溢れる涙を拭いて、響市に思いっきり笑いかけた。


「私で良かったら、喜んでっ!!」


こう答えた瞬間、今度は響市の頬が真っ赤に染まった。
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