【短】恋殻物語
果てしなく広がる、目の前の青く美しい海に意識を集中して答える。


波の音が何だかさっきより小さくなった気がした。


「私確かにテンション高い方だけど、好きな人相手にしちゃうと全然……ポンッと意識しちゃって、上手く話せなくなっちゃうの………」


ある程度なら大丈夫なんだけど、ふとしたきっかけで今みたいにモゴモゴしちゃう私が嫌になる。


砂浜に視線を落とし、足で適当に丸を何個も描く。


暫くの間、私も響市も一言も話さなかった。


「んな事……お前の好きな人は、どうも思ってないんじゃねぇの?」


先に口を開いたのは響市。
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