【短】恋殻物語
「ねぇ響市、今何拾ったの?」


気になった私は、風で目にかかる長い髪の毛をせっせと退かしながら問いかけた。


響市がザッザッと砂浜を踏みしめて近づいて来る。


不思議な事にいつもなら“コレ以上近づくと、上手く話せなくなっちゃいます!”って距離より近づかれても、平気だった。


「―――んっ」


「え………?」


スッと突き出された手は、拳状態で何か入ってる様子。


頭の中が大量のハテナで埋め尽くされたけど、とりあえず響市の拳の下に掌を広げてみた。


ジャンケンだったら、私勝ってるね、うん。


……バカか私は。
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