未熟者の傷跡
俺達は教室に戻り、お客様を出迎える。
…やっぱり俺には驚いてもらえなかったけど。
少し経つと、女の子が数人入ってくる。
「うらめしや〜。」
「…って、知ってるから。堀越君でしょ?」
俺はその声を聞いて、先頭の女子が芹川さんだと知った。
「あ、隣りの道だから。此処、行き止まりだから。」
そう言うと、すぐに女子数人の驚く声が聞こえた。
俺のすぐ後ろに控えてた人に驚いたらしい。
俺は少しだけ微笑んだ。
芹川さんに逢えた。
文化祭の代休明けまで会えないと思ってたけど、逢えた。
しかも、少し喋れた。
今の俺は、それだけで良かった。
.