未熟者の傷跡




文化祭1日目の終了時間である午後4時を迎え、俺は周りを注意しながらメールをチェックした。

試合は負けてしまい、おまけにMVPとニューヒーロー賞も、ガンバ大阪の選手に取られてしまった。

何故か分かんないが、川崎はいつも「あと一歩」が足りない気がする…。
前年には、Jリーグの優勝そのものを目の前で逃し、2位に落ち着いていた。それでも凄いけど。








しかし俺はその時、大好きな川崎フロンターレの(タイトルを賭けた)敗戦すら気にならなかった。

俺はもう少し、本当に少しで良いから、芹川さんと喋りたかった。

しかし、教室に遊びに来たのは1時間以上前だったから、もう帰ってしまったかもしれなかった…………。



「あっ、海人ー!!お疲れ〜。」


声の方を見ると、春馬が立っていた。
よっちゃんも一緒だ。


「……春馬、よっちゃん、お疲れ。よっちゃん、明日の体育館の準備、終わった?」


俺達の部は、体育館の発表をする為の準備を、他の文化部と一緒にやっている。
俺も、昨日は手伝っていた。







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