未熟者の傷跡
「おぅ、終わったよ。今年の一年生は数も多いし、よく働くね。身長低くて、文句多い奴とは、やっぱ違うね。」
…よっちゃんが言ってるのは、俺のコトだ。
俺は呟く。
「尚人よりは働いているつもりなんだけどな。」
「…冗談だよ、海人。それよか春馬から聞いたんだけど、芹川さん達が教室に来たって、本当?」
俺は黙って頷く。
「そっか。この文化祭の間に、少しでも話せて良かったじゃん。」
「…ひょっとしたら、まだ話せるかもよ?」
よっちゃんと俺は、思わず春馬を見た。
「……何言ってんだよ春馬。芹川さんが来たのは、もう一時間程前の事なんだぜ。」
「…いや、どうだろ?ひょっとしたら、他の教室を見て回っていて、まだ帰ってないかもよ?」
「…よっちゃんまで……。」
よっちゃんはニコッと笑って、ユーキに声をかけた。
「ユーキ!芹川さん、知らない?」
「…ちょっ……、よっちゃん……!」
「幸美?帰っちゃったよ。」
「……よっちゃんの馬鹿野郎。」
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