未熟者の傷跡




俺達の様子を見て、ユーキは気付いたらしい。


「…………ひょっとして、海人。幸美のコトが……」


スキ、と動くユーキの唇を見て、俺は溜め息を吐いた。


「…だとよ。海人、どうする?」


よっちゃんの質問に、俺は少しだけ考えた。


「……悪ぃ。俺、ちょっと芹川さん探してくるわ。一応戻って来るけど、先生上手く誤魔化しといて。」





ヒューヒューと冷やかす春馬を軽く睨んでから、俺は立ち上がる。

ふと、ユーキと目が合った。


「大丈夫。内緒にしとくから。頑張れ。」


普段は意地悪でムカつくユーキも、何故か優しい。

俺は勢い良く走り出した。















…が、良いが、俺は何処に行けば良いか分からなかった。

取り敢えず、下駄箱に向かう。





.
< 111 / 159 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop