未熟者の傷跡
逢いたいと思って行動しても、逢えないなら俺は
下駄箱を見ていた。
芹川さんは随分前に教室を出て行った筈なのに、まだ靴が残ってる。
恐らく部活か、進路の話し合いでもしてるのだろう。
彼女が下駄箱に来て挨拶をするのが先か、俺が待っているヒロが下駄箱に来るのが先か。
相も変わらずヒロは人を待たせる天才だが、こればかりは分からない。
俺にしてみれば、すぐにでも芹川さんが下駄箱に来て、その5分後くらいにヒロが来るのがベストだ。
すぐに俺の携帯電話が鳴った。
電話……ヒロからだ。
「もしもし海人?悪いけど俺のクラス来てくんない?」
「…あいよー。」
俺は芹川さんに逢う事も叶わず、ヒロに呼び出しを喰らった。
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