未熟者の傷跡









この席が本決まりするには、若干紆余曲折があった。

俺のクラスの学級委員は授業中は眼鏡をかけているが視力が悪く、ある程度前の席じゃないと授業に影響が出てしまう。

案の定、彼は「見えない。」と言い出し、俺は「窓側の席特有の、黒板の反射が押さえられたら」と、席の交換を提案した。

すると、また教卓の真ん前の席に当たってしまった芹川さんが、俺に「席交換しない?」と提案したのだ。





…結局、俺は芹川さんの提案を断り、学級委員はよっちゃんと席を交換した。



席替えをした後、俺は周囲の席の人達に「宜しく。」と言って回った。
後ろを見て藍川さんに「宜しく。」と伝えた時、彼女は意味ありげに笑って「こちらこそ。」と言ってきた――――。


俺は、軽く嫌な予感を覚えた。











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