未熟者の傷跡
「良いからこっち向いてっ。」
俺は仕方無く、前髪を抑えたまま藍川さんの方に向き直った。
「で、何?」
早く要件だけを終わらせようじゃないか。
「その手どかして。」
…うわ来た。
「いやいや、体育の時間に髪抑えてたらクセついちゃって。……勘弁して?」
「嫌、見たい。」
「ダサイとか、そういうの無しな。」
「うん、勿論。」
俺は溜め息を吐いた。
そっと前髪を抑えていた手を話す。
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