未熟者の傷跡
差し出した手は軽くスルーされて、芹川さんは結局自力で立ち上がった。
俺は芹川さんにお礼を言って、ロッカーから教科書とかを取り出した。
この時、俺の中の想いに気付かなかった俺は。
「女の子を助けようと手を差し伸べるなんて、俺って何て騎士道に乗っ取った格好いい奴なんだろう。」
とか、無駄に自画自賛した。
…今思えば、何て阿呆らしいんだろう。
どうして俺は、あの時点で気付かなかったんだろう。
あの日から、俺の中で芹川さんの見方が変わった―――――。
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