未熟者の傷跡





………よっちゃんの言葉が、天使の導きのお言葉に聞こえた。



「……ありがと、よっちゃん。」

よっちゃんは、軽く微笑んで続ける。

「……海人はね、普段の行動からは考えられない程、真面目で純情一途だよ。普段怖かったりするのに意外と優しかったりするのは、全部その影響だよ。」




「……よっちゃん、意外と海人のコト見てるんだな。」

もはや感心してる春馬が呟く。








「………海人、夏に交通事故に巻き込まれただろ?」

「交通事故?」

「おぅ。制服の背中側に、灰色の汚れが着いてた。」


よっちゃんに言われて、俺は思い出す。

「交通事故って云うか……。あの汚れは、煙草の燃えカスだよ。」

恐らくよっちゃんは、夏のチャリ煙草の事を言っている。
俺は二人に、あの事故の詳細を話してあげた。





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