未熟者の傷跡




「…海人、他の人と比べると、芹川さんだけ見てる率が高いんだ。授業中とかもずーっと見てたし。」


春馬がボヤく。

「…海人、よく先生に捕まんなかったな。」

「ってか、よっちゃんもよくそんなに俺のコト見てたな。」


俺が呆れると、よっちゃんが言う。

「俺、海人よりも後ろの席だもん。普通に前見てたら、海人が視界に入るんだって。」




「なぁ海人、他にこの事知ってる奴いるのか?」


春馬に聞かれて、俺は答える。


「俺が喋ったのは、直だけ。………あー、隣りのクラスの峰村。」

「…………直なら誰にも喋らねぇな。」


「まぁ海人、せいぜい頑張れ。」




春馬に軽く励まされ、この話題は終わった。







…筈だった。



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