未熟者の傷跡
段ボールの作業が終わり、俺は鞄を担いで教室を出る。
教室の前では、藍川さんがケータイをいじっていた。
「あ、藍川さん。まだ残っていたんだ。」
藍川さんはニッと笑って、俺に囁いた。
「好きなんでしょ?幸美が。」
「はいいいいぃぃぃぃぃぃ!?!?」
思わず俺は叫んだ。
藍川さんはクスクスと笑う。
「もう気付いてるよ。」
そのまま爽やかに、藍川さんは去って行った。
一人残された俺は呟く。
「……………何で藍川さんは、気付いたんだ?」
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