君とベンチで…


「お前、犬みたいだな」

「え?」


頭の中で"犬みたい=かわいい"って
勝手に喜んだりした。


「そうですかね……えへへ」
「変なやつ」


先生はまた目を細めて笑った。


「先生」

「ん?」

「なんでよくここにいるんですか?」

「………好きだから」


ドキッ……

なに反応してんの、私?
めちゃくちゃイタイ人じゃん……


「そ…そうなんですか」

「田中こそ、なんで来るんだ?」

「……今日は先生がいるのかなぁ?なんて思って」

「俺に会いに来てくれたんだ」


ニヤリと笑う先生に私はまた心を奪われる。


「……また、会いに来てもいいですか?」

「…ああ、飽きるまで来い」

「じゃあ毎日来ますよ!」

「…そうか」


先生はまた笑った。
少し寂しそうに笑った。


「ほら、もう休み時間は終わりだ…教室に戻れ…」

「はい!先生、また明日」

「…ああ」


先生は私と目を合わせようとしてくれなかった。


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