君とベンチで…


帰り道
とっくに涙は乾いていたけど
あの光景が頭から離れなかった。

二人は付き合っているの?

一人で悩んでいろいろ考えるよりも
直接、本人に聞いた方が早い。

私はずっと真実を知りたくて待っているのに
先生は一向に姿を現さなかった。



そうしているうちに
一週間が経った。

今日も先生は来ない
冬になると5時はもう辺りは真っ暗。


「……帰ろう」

立ち上がったその時

「葉音ちゃん!」

窓から美香ちゃんが手を振っていた。


「話があるの!今からこっちに来てくれる?」


私は頷いて保健室へ向かった。



「ごめんねー寒いでしょ…ずっと外で待ってるのは…」


余裕ぶっている態度にカチンときた。


「……先生と、付き合ってるんですか?」

「うーん…付き合ってるっていうか……」


無駄に勿体ぶるのにイラついた。


「私たち相性がいいの…」

「……相性?」


口だけ笑った顔が近づいてくる
私は後ずさりすると
保健室のベッドにたどり着いた。


「葉音ちゃんも見てたでしょ?」

私の肩をベッドに押し付けた

「覗きなんて趣味悪いなぁ…ふふ」

「私たち学校が終わるといつもここで愛し合うの」

「このベッドで何度も何度も…」


「……あれ?泣いてるの?葉音ちゃん」


「………じゃあ…付き合って無いんですね?」

「……」

「付き合ってないなら、こっちにだってまだ可能性はあるんだよ!」

「可能性?!あんたみたいなガキが私に敵うと思ってんの?」

「思ってるよ!手、離して!」

「…ふふ、なんていうか…その無謀さは誉めてあげる」

「どうもありがとうございます」

「これからはライバルね!よろしく」


差し出された手を私ははたき落とした。


「私は体使ってなんて汚い手を使ってあんたに勝とうなんて思ってないから」

「体使わないであなたに何があるっていうの?」

「勝手に言ってなよ、いつか後悔させてあげる」


私はそれだけ言うと扉を閉めて出ていった。


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