君とベンチで…
本気
「葉音…今日はなんだか気合い入ってるね……」
「分かる?…今とっても燃えてるの、私」
「そう…頑張って!」
「うん!」
チャイムと同時に走り出した。
走ってる間
私はお願いしていた。
今日こそは先生に会えますように……
私の願いが叶ったらしい
ベンチには懐かしい先生の姿があった。
「先生!」
嬉しくて、嬉しくて
思わず先生に抱きついた。
「お……おい!こら!」
「先生!会いたかった」
先生の懐かしい声や匂いを感じて
腕に力を込めた。
「苦しい!離れろ!」
「先生……」
「なんだ」
「会いたかったです」
目を合わせない先生の顔が耳が真っ赤に染まりだした。
「先生……顔、赤いですよ。熱でもあるんですか?」
「ゴホッ…ゴホ……そ…そうなんだ…」
「あははは!先生の嘘つきー!本当は照れてるんでしょ?」
「う…うるせー……」
「先生、可愛い」
先生の柔らかい髪に触る、
しようと思えばキス出来てしまいそうな距離
息もできないくらい苦しいけど
嫌じゃないこの距離
私は良くても、先生は?
思い出したくない風景が私の頭を占める。
「ごめんなさい…」
パッと離れる。
なんとなく気まずくなって視線を"あの窓"に移した。
「先生がここを好きな理由…分かっちゃったみたい」
私に続いて先生も視線を窓に移す。