君とベンチで…


走り出したは良いけど
行き先が分からない。

授業が始まってもう既に30分が過ぎていた。


こうなったら!
仮病を使って保健室で休ませてもらおう、

今さら行ったってどうせ怒られてしまうんだから…



ガラガラ…

「失礼します…」

「はーい!どうしたの?」

「…あの、生理痛が酷いので休ませてもらっていいですか?」

「はい、どうぞ」


保健室の先生は可愛らしくて、綺麗で、優しそうな人だった…


「ん?どうしたの?そんなに私の顔を見て…」

ウフフっと笑う彼女から暖かい雰囲気が感じられた。


「私…先生みたいになりたいです……」

「へ?私?!」


目を丸くして驚く姿さえ可愛らしい。


「…いえ、なんでも無いです。すみません……」


頭を下げて私はベッドに潜り込んだ。


「おやすみなさい…」


そう言って先生はそっと布団をかけてくれた。


私が男子だったら、間違いなくこの先生に惚れていただろうな……


< 3 / 19 >

この作品をシェア

pagetop