君とベンチで…
片想い


「……あ!」

先生だ!


「し…ししし白石先生!」

「ぷっ…どうした?」


噛みまくりの私を笑う先生、
その笑顔で私の心を独り占めされる。


「昨日、教科書、ありがとうございました!」

深々と頭を下げる私にまた先生は笑顔を溢した。


好きな人が笑ってくれるなんて幸せ。


「早くしないと、遅刻するぞ~」

「はい!」


まだまだ話したかったけど、面倒な生徒にはなりたくないから

後ろ髪引かれる思いで教室に向かった。



先生の笑顔が脳にこびりついて離れない、

また会いたい
すぐにでも会いたい

授業はずっと上の空で

数学の時間は、白石先生だったらなぁ…
なんて妄想していた。


「葉音……にやけすぎ!」

「嘘?!本当に?…恥ずかしい…」

「あはは、なんか良いことあったの?」

「うん!朝ね、いっぱい話したの!」

「そうなの、良かったね」

「あーあ会いたいなぁ!」

「本当に好きなんだね」

「大好き!」


窓の外を眺めて
ふぅ、とため息をつくと

はっちゃんに笑われた。


「会いに行けば?」

「うーん…どこにいるか分からないし」


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