死神の嘲笑
「健太さんという方について教えて欲しいんです。なぜ、彼が梓さんのことを忘れていたのか」


死神が言葉を発する前に、キィッと微かな音がした。

「梓さん……」

「ごめんね、友弥。声が聞こえたから。私にとって、健太は大切な人だった。だから、私も真相を知りたい」

小さな困惑を顔に貼り付けた死神が、語り掛ける。

「ですがね、三留さん。あなたにとってショックな内容だと思いますよ」

首を横に振る梓。

「構わないです。私は、知りたいんです」

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