死神の嘲笑
「この世界の管理者となった死神は、時々現世に行きます。そして、気に入った人を見つけたら、この世界へと連れて来ることができるんです……」

瞳がこぼれ落ちてしまいそうな程、梓は大きく目を見開く。

「健太は、あなたに気に入られて死んだんですか?」

「はい。私は、残酷な者です」

重苦しい沈黙が、思わず顔をしかめたくなる匂いみたいに、漂う。

「続けてください」

「はい。矢口健太さんは夢に向かって真っ直ぐに努力する、好青年でした。私とは対照的で、嫉妬した、と言っても強ち間違いではありません……」

朱理と臨、友弥の表情も沈痛なものへ変化していた。

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