死神の嘲笑
その時だ。

慌しく扉がノックされ、死神が入ってきた。

「申し訳ありませんが、栗原さん。この近くにあるマンホールのメーターの調子がおかしいようなんです。あなた、公務員として送水課にお勤めですよね」

「はい」

「それでは、メーターを見てもらえませんか」

まさかこんなわけの分からない地で、仕事をすることになるとは思わなかった。


しかし、珍しく死神が困惑の色を顔に浮かべていた。

「いいですよ。ですが、マンホールを開けるには或る工具が必要なんです」

「持ってきました」

頷くと、彼らは扉を通って外へ出た。

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